2017/06/12

声が出ない。腎の疲労と驚恐という精神作用


声が出ない

咽喉の治療で恥骨上部を押圧する方法



ディスク・ジョッキーをされている方が、
「声が出なくなりました。何とか治してください。明後日には大勢の前で話す仕事もあるのです」
と、聞き取れないぐらいスカスカな声で訴えてきました。
話を聞くと、遅くまでお酒を飲みながら話していて、翌朝起きたら声が出なくなっていたそうです。

この方は、大きな手術をされた方で、背中の上部に大きな手術痕もあります。
そのせいで、何年も首の調子が悪く、毎週治療院へ通っているそうです。
ですから、上部脊椎や頸椎にも歪みがありますので、その歪みを矯正しています。
しかし、この声の問題は、上部脊椎や頚椎が直接の原因ではなく、遅くまで飲んだのが原因のようです。

声を使う仕事をしているので、声帯の問題と考えたくなりますが、声を使わない仕事の方でも同じような悩みを訴えて来る方もいますので、原因は他にありそうです。
そうなんです。
実は、下腹部の冷えでも同じような症状が出てくるのです。

ですから治療は、下腹部の緊張を取って、血液循環を良くして冷えを治めることが大切なのです。
方法は、上の写真のように、恥骨上部から、恥骨の内側に指3本を挿し込むように押圧していくのですが、冷えて硬くなっていますので、痛い治療になります。
痛いのが嫌な方には、ホカホカカイロ等を下腹に入れてもらいます。

鍼灸治療だと、恥骨上部の「曲骨」「横骨」辺りのツボを使う場合もありますが、即効性や治療効果は、写真のような手技で、恥骨上部を解した方がいいのです。

この方にも、
「ちょっと痛いのですが、声が出ないと仕事にならないと思いますので、ちょっと我慢してくださいね」と言うと、
「明後日は、皆さんの前で話をしなければならないので、お願い致します。痛いのは大丈夫です。我慢しますのでお願いします」ということで、その治療をしたわけです。

この治療は、施術後15~20分、長くても30分ぐらいでは声が出るようになりますので、遠慮なく治療しました。
そして、治療の途中で、「声はどうですか? あ、い、う、え、お、と声を出してみてください」と言うと、

「あ、い、う、え、お」と声を出してから、「これをやったらいいんですか? あ、い、う、え、お」と声を出すので、

「いえいえ、あいうえおと言ってもらったのは、声の調子をみただけです。あ、い、う、え、お、では良くなりませんよ。しかしちょっと良くなったようですね」と言いながら治療を続けました。

まだ十分ではないと思ったので、治療をしながら下腹の冷えと咽喉の話をしました。
すると、「ビールはいけないんですね。焼酎の湯割りはいいですか?」と聞いてきましたので、「ビールよりは焼酎のほうがいいのですが、腎臓の問題になるので、飲まないほうがいいんじゃないですか」と答えておきました。

治療が終わっても、まだ完全ではなかったのですが、声は聞き取りやすくなっていたし、今までの経験で「治る」という自信がありましたので、それで終了にしました。
今までしてきた「声の治療」と比べると、私としては満足できませんでしたが、それ以上治療をして負担をかけるとマイナスになる可能性もあるので、後は時間に任せようと思い治療を終了したわけです。

さて、何故下腹と咽喉が関係あるかというと、下腹は七星論での「腹七」で「水」に当たります。
つまり、恥骨上部を押圧するのは、「水=腎・膀胱」の治療をした事になるわけです。

それで、腎臓と咽喉がどのような関係にあるかというと、腎臓は血液浄化をする臓器です。
腎臓が疲れて血液が汚れると、粘膜や皮膚の代謝が落ちます。
粘膜や皮膚の代謝が落ちると、本来の働きができなくなります。
その結果、声帯に異変が起り、声が出なくなったわけです。

大声を出した翌日に声が嗄れる人も多いのですが、あれは咽喉粘膜の炎症です。
炎症でも粘膜の代謝が落ちますので、声が出なくなるわけです。

悲しい時やビックリしたときも声が出なくなる時がありますが、あれも東洋医学では「驚恐して腎を病む」と云い、腎と精神作用が説かれています。
「ビックリして腰を抜かす」なんていうのが「驚」で、腎との関係になるわけです。

そして、恐いことが続くと、緊張のせいで動脈が刺激され過ぎて動脈硬化が起ります。
その結果、腎臓の髪の毛より細い血管が詰まり、腎臓の代謝が落ちるわけです。
則ち、これが「驚恐」というわけで、腎臓が悪くなる一因とされるわけです。
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