2017/11/26

手を背中で回すことができない時の治療 (頭皮鍼療法の組み立て方)


治療後はすぐに背中で手の平を回すことができた



上肢と関係のあるところへ1本鍼を刺しました



「左の腕を背中で回すことができないんです」という方が来られました。
どのような状態なのかが理解できなかったので、その動作をしてもらいました。
すると、上の写真では、手のひらを背中に着いていますが、治療する前は、手首が回らず手の甲しか背中に着けることができなかったのです。

「なるほど」と思いながら、そのまま頭皮鍼で「上肢の反射区」に鍼を1本刺しました。
そして、「はい。さっきみたいに背中で手を回してみて」と言うと、ちょっと疑いの目で私を見ていました。
多分、「何もしてないのに、手が回るわけないでしょ!」と言いたかったと思います。
それでも言われた通りに手を背中に回して確認していました。

「ああ、ああ、ええーっ? ええーっ? 回ってる。回ってます」と言うので、背中を覗いてみたら、先ほどまで手の甲しか背中に着かなかったのに、ちゃんと手の平が背中に着いている。
彼女はものすごく嬉しそうな顔をしていました。
多分、この喜びはご本人しかわからないと思います。

その後、肘関節と手関節を簡単に調整しておきましたが、それは、「何もしてないのに!」と思われないようにするつもりでやったのです。
と言うのは、何もしてないと思い込んだら、余所で「何もしてないのに治りましたよ」と言う可能性があると思ったからです。(実際にそういう人がいました)
ですから、肘や手首をパフォーマンスで触ったわけです。 v(^◇^)v

で、その鍼をした部位は、頭蓋JAAでの「水=腎・膀胱」の部位です。
頭蓋JAAでは(と言うよりは七星論では)、髪際を「水」と診ますし、肩関節も「水」を診るので、その部を選んだわけです。
ただ、3年ほど前までは、髪際に並行に刺鍼していたのですが、あるヒントがあり、髪際に直角に刺すようにしたのです。
※ 今も並行に刺す場合も多いです

それにしても頭皮鍼は面白いものです。
内転・外転だけでなく、内旋・外旋も頭皮鍼で調節できるのですから、筋骨格系だけを中心に治療していたら、多分理解できなかったと思います。
そのような動き(運動)で、筋肉や骨格や関節を無視して治療することはできないと考えるからです。

こんなにいろいろな変化を出すことができる治療法なら、もっと研究して若い人たちにも使えるようにしてあげる必要があります。
1989年に巨鍼療法を日本に持ち込んでから、朱子の頭皮鍼もかなりやりましたし、3年ほど前には「頭蓋JAA」という、頭蓋縫合調整鍼も組み立てたので、そんなに難しいことではないと考えています。

そして、私の心を大きく揺さぶったのは、頭皮鍼を使う時の診断の問題です。
「ここの痛みにはここに鍼を」「このような痛みにはここに鍼を」という理論的なものがないのは、あまり好きではないからです。
つまり、「診断と治療」の流れがないのは、素人療法のようで面白くないのです。
※ YNSAには「首診」という診断法はありますが、曖昧な感じがするし、そうとう慣れなければ使えないと思います。

そこで今回、中医学会での講義もありましたので、「頭皮鍼の診断と治療」についても考えながら資料を作っていたのです。
もちろん、そんな簡単にまとまるものではないのですが、幸い七星論には「六臓診」とか「脊椎診」というのがありますので、それらを使えば「診断から治療への流れ」が組めると思います。

頭皮鍼の難点はそれだけではありません。
頭皮鍼は選穴に苦労します。
大雑把な刺鍼部位ならわかりやすいのですが、キーポイントを押さえた刺鍼で治療したいので、そのツボの取り方も研究しなければなりません。
そして、それができれば鍼灸学生にも頭皮鍼を教えることができると考えています。



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